監督&プロデューサー トークショー
『まほなれ』第3話 最速特別上映会!!
監督×プロデューサーによる
スペシャルトークショーin立命館大学
TVアニメ『魔法使いになれなかった女の子の話』の
スペシャルイベントを
京都・立命館大学で開催いたしました。
本編第3話の最速先行上映会に加え、監督の松根マサト氏とプロデューサーの有田真代氏が登壇する「まほなれ」スペシャルトークショー。
会場の方からの質問を中心にアニメづくりのあれこれや、「まほなれ」制作の裏側までたっぷりとお話をいただきました。
第3話ご覧になって改めていかがでしょうか。
大画面で見ると、水彩タッチの作画がきれいだなと改めて思いましたね。
この絵作りはどこまで制作現場で受け入れてもらえるかなと思ったんですが、絵本みたいな世界を描く機会も少ないこともあってか、スタッフの皆さんは楽しんでやってくださいました。
図書室の隠し扉が開くシーンなど、レットランの校舎で新しく出てくるところもワクワクしましたよね。隠された施設がこれからも出てくると思いますので、楽しみにしていてください!
原案を読んだ時のご感想はいかがでしたか。
年表から始まるんですよね。そこの作りこみが大河ドラマかと思うぐらい細かくて重厚なんですよ。すべてをアニメ化しようとしたら全部8シリーズぐらい必要だなって(笑)。
でも最初はその重さを感じさせない、見やすい導入というのを意識して作ろうと思いました。
アニメ化原案公募企画を実施した際に「異世界・ファンタジー部門」で見事大賞に選ばれた作品なのですが、この部門だけで小説や漫画、企画書など2,000作ほど応募が来たんですよね。
それはどうやって選ぶんですか?
何人かのプロデューサーで手分けをしつつ、Excelでシートを作って全作読みました。
朝から晩まで会議室に入って、缶詰め状態で…。たくさん読むので、やはり個性的なものははっと目を惹いて。中でもこの作品がいいなと思ったのは、誰しもが共感できる挫折が物語のスタートでありながら、どうなっていくのか読めないドライブ感があったところです。
お気に入りのキャラはいますか。
部長、副部長!
ユズですね。人間的で素敵だと思います。
ユズはもう約束されたデレですもんね。
そう、どんどんデレていくユズちゃんがかわいいんですよね。
シナリオ打ち合わせを始めた当初は、ここまでWヒロイン的な感じになっていくとは思っていなかった。
そうですよね。全体を組み立てていくうえで、迷子になっている主人公のクルミと対になるような、リードしてくれるキャラクターがいたらストーリーとして見やすいよねということになって。
ユズがどんどんスターダムを駆け上がっていきました(笑)。
制作現場の裏話はありますか。
音響監督の岩浪さんがある日ブースで「監督…菊芋いる?」と…。珍しい食材をよくお裾分けしてくださって、なんか世界観がレットラン魔法学校のようでしたよね。
たまたま食材をいただいた日が原作者の赤坂さんが見学に来られた日で、「アフレコ現場ってこんな感じなんですね」っておっしゃっていたんですが(笑)。全くそんなことはないです。変わった食材を持ってくる人がいるのは「まほなれ」だけです。
「まほなれ」らしい、和気あいあいとしたアフレコ現場でしたね。学園ものなので、キャストさんに関してはフレッシュなメンバーで行こうというのが一つ方針としてありました。自由にワイワイとした空気感は作品にも反映されていると思います。
クルミ=ミライ役の菱川花菜さんとユズ=エーデル役の山田美鈴さんは養成所の同級生なんですよね。
そうなんですよね。全く偶然なんですけど、最高のクルミと最高のユズを選んだら、たまたまそうなりました。
もし「まほなれ」の世界に行ったとしたら、やりたいことは何ですか?
マ組が乗る、ドローネという空飛ぶ乗り物があるんですが、あれに乗ってみたいですね。ドローネは発案当初、箒と対になるものにしたいと考えていて、その時に電気掃除機(ポリッシャー)が空飛んだら面白いんじゃないかって思って、それに近い形にしたんです。あと魔法手帳も使ってみたい。あれは電子手帳を参考にしました。
携帯電話が普及する前に一時期流行った、懐かしアイテムですよね。
はい、意図的に魔法アニメにあまり出てこないアイテムを使っています。
魔法手帳を使うということは、監督はマ組に入らないといけないですね。
いや、レットランは普通科でも入るの難しいのでオークションで買います(笑)。
部活は私もクルミたちと同じで、マ研にたどりつきそうだなと思いました。
自分はキンボール部でやっていける気がしないので…。
レットランは変な部活ばっかりですよね。
部活のバリエーションを考えるの楽しかったですよね。カバディ部はこのあとも再登場しますので、カバディ部推しの方がもしいたら、楽しみにしていてください!
いないでしょそんなの!(笑)
オープニングのお気に入りのポイントは?
オープニングは普段もっとカットが多めなんですけど、本作は子供も大人も見られるというテーマで取り組んでいるので、少しゆったりさせました。オープニング楽曲のPUFFYとついでにTOOBOE「コラージュ」の優しい雰囲気にも合わせました。
進路に悩んでいます。お二人が現在のお仕事に就かれるまでの経緯を教えてください。
経緯をすべて話すと夕方までかかりそうですね…(笑)。
ただ言えることとして、これはものづくり全体に当てはまることかもしれないんですが、技術は後からでも身につくというか、現場で磨かれるものだと思うので、「技術が足りないとなれない」ということは信じなくていいと思います。それよりも「何をやりたいのか」という芯をもっていることのほうが大事で、それがあればずっとぶれずにやっていけるのではないでしょうか。
辛いことを乗り越える方法があれば教えてください。
溜めずに弱音を吐くということですかね…。辛いことがあったときは、会社でも家でも「もう無理かもしれない」と弱音を吐いて、周りに助けを求めていますね。溜めないことに重点を置いて、うじうじしながら頑張ってます(笑)。
クルミみたいですね。
本来、プロデューサーはもっとどっしり構えたほうがいいんだろうな、とは思いつつ…自分はそのスタイルはできないんですよね…。
僕も同じです。いつも助けを乞うています。
でも助けを呼べるというのも大切ですよね。
コンテンツに関わる仕事をする上で、共通して必要な力は
何ですか。
先ほどの話だと、助けを求めるにしても、どんな状況で、何が必要で、というのを“伝える力“が必要かなと思いました。一人で抱えないこと。
これはすごくいい質問で、何があるかしらと悩んだのですが、一言でいうと“素直さ”なのかなと思います。大抵の現場は怒涛のごとくいろんなことが同時並行で動いているので、“斜に構えている”暇ってないんですよね。よく自分にも言い聞かせてるんですが、シニカルになっていても物事は進まないので、斜に構えずに自分のやりたいことを言えたり、素直に指摘を受け入れられたり、わからないことは人に訊けたりすることが大切だと思います。
今日トークショーを聞いている学生に一言お願い致します。
「まほなれ」のテーマでもあるんですが、長くて短い人生の中で、常に「やりたいことって何だろう」と考えて行動をしてもらえるといいのかなと思います。案外「やりたいこと」っていうのは変わっていくんですよね。1年後、全然違う仕事をしている可能性もありますし。興味は絞る必要もないし、幅を持って、いろんなものに興味を持って楽しんでいくというのが大切かなと思います。
私も少し近いのですが、受験や進学のイメージだと、自分でしっかり目標を定めて達成していくことが大事!と思いがちじゃないですか? でもお仕事の場合、学生の方が想像する以上に、偶然の縁や成り行き、運で進む道が決まる部分も多いと思うんです。なので、偶然や自然な流れを楽しめるほうがいいのではないかと思います。マ組じゃなくても、普通科にも楽しいことはいっぱいあるし、挫折だと思った道が、案外伏線回収みたいにあとから夢につながったりもしますよ!
タンバリンダンス部ってなに?っていうね(笑)。
あとは、ミナミ先生がなんで普通科のみんなを魔法使いにならせようとしているのかを推測できる要素が出てきましたね。
そしてついに登場しましたよ…個性的な2人が。
マ研の部長と副部長、スタッフ人気も高いんですよ。