スタッフインタビュー #01
脚本家・金杉 弘子さん
「まほなれ」の脚本を書く上で、
意識されたポイントはありますか
特にテンションが上がったシーンは?
学園ものなので、みんなが喋り出すと楽しくなりますよね。全12話で一組の皆を覚えてもらわないといけないので、キャラクターをそれぞれ立たせて、名前もできるだけわかりやすくしました。ユズと一緒にいる2人はレモーネ・ミカーナと柑橘系の名前でまとめたり、それぞれの得意分野をそのまま名前にして報道部のマイク、鉄道オタクのテツ、お医者さんの家の子だからドクとか。キャラクターが固まってきたら、この子たちが好きに喋り出すので、そうなると自分も教室にいるような感じで書いてました。
魔法ものではあるんですけど、同時に学園ものでもあるので、実際にいろんな学校の文化祭とか体育祭を見に行ったりもしました。学園ものとして、ストーリーに直接関わっていない、わちゃわちゃしたところも楽しんでいただけたらと思ってます。
個性的なキャラだらけですが、金杉さんの推しキャラは……
わたし、マジ研(マジック研究会)が好きなんですよ。マジ研が出るまでは絶対に見てください! 最初の方はいないので。部長と副部長の2人しかいない、ほぼ廃部寸前の部活で、みんな「部長」「副部長」としか呼ばないので、名前さえつけてない。
副部長が毎回、中二病的なワードを言うのですが、わたしの中にあまりない中二ワードをかき集めました(笑)。部長と副部長の会話は噛み合ってないようで、実はときどき重要なことも言ってるので、注目してほしいですね。
この作品の一番の魅力はなんだと思いますか
やっぱりタイトルですよね。まんま、「魔法使いになれなかった女の子」。なりたいのになれなかったから、ほぼ魔法を使えていない話で、それが魅力だなと。これまで女児向けのアニメなども書いてきたんですが、「夢って叶うものだよ」とか、子どもに希望を与えるアニメが多かったんですよ。でも「まほなれ」は「叶わないじゃん!」ってところからスタートするので、そこがすごく好き。誰もがなりたいものになれるわけじゃないし、挫折もするし、受験には倍率というものがある。そこで夢破れてしまった方の子に、スポットを当てたお話です。
でも主人公のクルミちゃんは最悪の絶望のどん底で、「周りはキラキラしてていいな」と思っていても、「クルミちゃんがうらやましい」と思ってる人もいるかもしれないし、自分ばかりが不幸じゃない。皆それぞれいろいろあるから頑張っていこうよ、という思いを込めたので、何かを目指している人や大人の方にも見ていただけたらと思います。
最後に一言お願いします
次回予告を飛ばさずに見てください! 配信なんかで「次のエピソード」を押しちゃうと飛ばされちゃうので、スキップせずに(笑)。あそこにわたしの思いが込められています。声優さんも楽しんでやってくれたと思います。
原案の赤坂優月先生が「アニメは自由にやっていただいて大丈夫です」とおっしゃってくださってると聞いたので、「完全なオリジナルではない」というのは頭の片隅に置きながら、自由に遊ばせていただきました。キャラクターさえぶれなければ、台詞や行動などもぶれることはないと思うので、そこはすごく意識しましたね。あとは楽しくやらせていただいたので、ありがとうございますという感じです(笑)。