スタッフインタビュー #05
撮影監督・八木 祐理奈さん
今作において意識された点を教えてください
苦労されたシーンなどはありますか
1話のドラゴンのシーンは、まず素材をどうするか?という話から始まって。3DCGさんにお願いする案もあったんですけど、結果的には作画に対して撮影で処理を足すことになりました。人間じゃないキャラクターはどうしても作画さんも大変なので時間がかかっちゃって、早く出しつつもミスがないようにしないといけない。自分としても「このくらいのビジュアルに持っていきたい」というラインがあったので、そこにちょっと苦労したかなという感じですね。
魔法周りのデザインはいかがでしょう
今回の魔法陣はデザインとしてはシンプルです。魔法手帳を使った魔法陣はデジタルチックなんですけど、ミナミ先生が手で描いたりもするので、ただ光るだけじゃなくて手描きみたいなテイストにできればと。撮影処理でタッチを出しつつ、色味もきれいになるようにシアンとマゼンタをまぜこんでみたり、いろいろ試しています。一組とマ組の魔法の違いでいうと、ミナミ先生は順番になめ出していくのに対して、マ組の方はもっと短縮形というか、「ポンと出す」イメージなので、線画が出る時間も短縮しています。
作中、推しキャラはいますか?
保健室のネコ先生のビジュアルが好きすぎて、ぬいぐるみがほしくて……膝の上に乗せて、抱えて仕事したいです(笑)。
今回、キャラクターデザインからの要望で、撮影の方でキャラの線を太くする処理を入れさせていただいているんですね。部分的に細く、部分的に太くという処理を入れることで、線を描いたときの強弱が表現できるようにしてるんですけど、ちゃんと調整しないと、せっかくのアニメーターさんたちが描いてくださった絵を殺してしまう部分があって。撮影のスタッフの方々にも「ちょっとここだけ……!」と、細かい調整まで口出しさせていただきました。どのキャラクターも、可愛い動きにしよう!とアニメーターさんたちが頑張って描いてくださってるので、「絶対に生かし切るんだ!こんなにすばらしい絵を撮影で殺しちゃだめだ!」と思いながらやってました。
すばらしいチームワークですね。
最後に、撮影としての注目ポイントがあれば
「クルミのキラキラ劇場」を見てほしいです! 美術さんの背景も、仕上げさんの色味も、撮影としても、「本編とはまったく別物で!」とさせていただきました。毎話数かわいらしいキャラになってるなと思ったので、ぜひ注目して見てもらえたら。
背景の時点でほかのアニメ作品とテイストが違ったので、普段のノリで炎や雨の撮影処理をのせると、作品の世界観に合わなくて浮いてしまうんですよね。そこで、画材で塗ったり描いたりしたような雰囲気にできればなと思って、1話に出てくるドラゴンの炎は油絵具で塗ったような感じ、「クルミのキラキラ劇場」の雨はチョークで描いたような感じと、ほかの作品ではやらないような処理にも挑戦させていただいてます。絵本みたいな感じになればいいなと思いながら作りました。